熊本日記・始まり

今年の個展は、被災地である熊本の皆さんに
ただ楽しんでもらいたいという気持ちで参上しました




そりゃだって、屋根や壁が壊れた人が多くて
軽い被害でも 食器棚やテレビが壊れてしまった皆さんに
生活必需品でもない工芸品を買ってもらおうなんて図々しいからね




会場作りは、いつものようにおじさんの形見の書で始めました
熊本伝統工芸館は、写真のように熊本城の隣の素晴らしい場所にあります



実は初日、朝一でけっこう売れたんですよ
以前も言いましたが、熊本の皆さんは工芸品を大切にするし とても詳しいですね

「日本の工芸品は素晴らしいのに、職人が生活できず、国の援助もないから
 一流の物が毎年消えていっている、あなたはやめないで頑張ってね」

というお言葉も頂きました、あざっす!



ここは毎週、必ず違った工芸家の展示会が開催されていますので
熊本城にお越しの際はぜひ お立ち寄り下さいませ



着物美人さんが来られました、震災の時はタンスや冷蔵庫などが倒れてきて
「ああ、こんなふうに私は死ぬんだ、、、」 と、あきらめたそうです
今は、着物を来て出掛けられるだけで幸せを感じています、ということでした



別の女性は、「一五一会」 という楽器で歌を唄ってくれました
簡単に三か所ぐらい押さえるだけで弾けるもので、島唄を唄った沖縄の人が
広めたらしいですね



手描き友禅の坂井さんも 焼酎のお土産を持って来てくれて有難うございました!
来年は二人で展示会をやる予定です、面白くなりそうですね〜

さて

初日、変な客も来ました

どう見ても ブティックか雑貨屋の店長、そして その部下です
作品を 冷めた斜め目線で見るあたり リサーチ以外の何ものでもありません

そして こう話してやがったんです

「やっぱ 職人って営業が下手よね、もっと説明しないと買わないわよ」
「ですよね〜店長〜」



あんまり感じ悪かったから! 似顔絵を描いてやりました

こっちは キミらの風体見て何もしゃべらんかっただけや
それに売り込みがうまい職人なんて なりたくもないし
おまえのファッションセンスこそ 下品だろう と、思いました



こちらは 隣の会場なんですが
ここでも お客さんとやっちゃった職人がいたみたいで

「ただ新しい物を作ればいいってもんじゃないわよ、伝統を守らなきゃダメよ!」

と、捨て台詞を吐いて立ち去る客がいました
怖いですねぇ〜 

僕の考えは ちと違います
伝統は守るもんじゃなく、時代に沿って変化していくもんだろうと思います
ただこれは売れ線や安物をを追っかけるということではありません
自分の職人人生の中で 少しでもいいからオリジナリティーを出し、お客さんが
求めているものに応える職人になること ではないかと思うんです



ちなみにここは 肥後ぞうがんの展示会場です
むむむ〜っ 「十人十色」 がここにもいたぁ〜

しかし、ここは全員がぞうがん職人でしょ
我々は全員が違う職人です、ま、よしとしましょう


続く、、、。