風呂の戸 蹴破る

5月の ある日

家庭では
毎日 くそ親父が文句ばっかり言うんで

一秒でも 家には居たくない感じで

いつものごと 遊び散らかして
ダチんちに おる時

「明日くさ、女連れて映画でも行こうや!
  ブルース・リーの 死亡遊戯が ありようじぇ」

って話に なって

お互いに アロハでキメて
白いズボンで行こう、、は、 いいばってん

オレのボンタン 
だいぶ くたびれとうけん

ダチの 白のバギーば 借りることにしたわけ

ウェストは まあ合うんやけど
裾が短いんで かーちゃんにやってもらおう ということで

夜の 9時過ぎやったかな
バタバタ帰って かーちゃんに頼んだんよ

そしたら 絶対にせん!
って 言うやない

頼むよ〜って 日頃の素行は謝るけんって 言うても
家に はよ帰るごとする言うても  勉強する言うても

絶対に してやらん! って
怒って言うわけよ

オレもう ブチブチッーって切れて

「なんやぁ〜 オラぁ〜 このくそばばあがぁ〜!」

叫んで 風呂の戸ば 思いっ切り蹴飛ばしたら
ボコ〜ッ って穴が開いてもうた

足の指から血が出て 痛かったけど
心も 傷ついたね

あの日

いつも優しい母親が
なんで あんなに意地張ったんか よう分からんのよ

だけど

たったこんだけのことで
家庭内で暴れた、、、

そう思ったら なんか情けなくなって
オレ 涙が出てきた

そのうち かーちゃんも 泣きだしたんで

「もう あんたには一生 なんも頼まん!」

って言って 部屋に閉じこもったら

中学生の妹が 裾を直してくれた
悪い兄貴を持って 妹も大変だぁ〜ね


結局

あとから帰った親父に 1時間ぐらい説教されて
夜中の1時頃 ようやく寝れたかな

あれは 嫌な思い出になったな。