ボンタンを 焦がす

三年の夏頃、、

仕立てのボンタンにうっかり煙草ば落として
もものあたりが 焦げてしもうた

そのボンタン
上等やったんよね

もともと朝鮮人の S っていう奴が
高級タキシードクロスで 仕立てに出したもんで

出来上がりば穿いてみたら
なんか ちょっとサイズが違うっていうんで

オレが穿いてみたら バッチリやったわけ

だけん

いくらやったかなぁ?

とにかく手持ちのカネ 一万ぐらいで
無理やり譲ってもらったやつなんよ

そいつはいつも
センスのいい仕立てば注文する才能があって

同じヤンキーでも

三年ぐらいになったら腿の幅を狭くしないとおかしいぜっていう 
自分なりの哲学も持っててね

腿幅38センチぐらいで スッキリ作ってあった
インのツータックに、ほんの少しハイウエストで

ポケットも縦割りで 櫛用もあって 
カッコイイわけよ

こういうのは値打ちがあって
卒業の時に後輩が狙っとるやつやけん

その期待ば裏切ったらいかんから
やっぱ、 かけつぎに出したんやけど

けっこうあれ、高かったね

そんで その間は

以前に穿きよった 腿幅45センチのボンタンば出してきて穿いたけど
妙に恥ずかしくて たまらんやったよ

学校に行きゃ

「おお〜っ! 今どきそげなボンタン
  イイズカか タガワもんぐらいしか穿いとらんじぇ〜」 

やら、言われてくさ

オレって コンポラ派(短ラン)やったけんね
まあ、そうやな〜て思うたよ

あんまりでかいボンタン穿くと
ドカタの親父か、日光猿軍団のごと見えるっちゃんね

ありゃあ 恥ずかしかった

ばってんそんかわり

汚れろうが 破れろうが構わんけん
この際やぁ〜と 思うて 

香椎近辺で しっかりカツアゲグループ作って
ぞんぶんに 暴れさせて頂きました

そのへんの事ですらも

同級生からは

「まだ カツアゲやらしようとや?
       はよ、大人になれよ」

って

キビシク指導されるという
じゃっかん 17才の少年でした。