知人の モーレツ彼女

昭和55年ごろ

油山 観光通りあたりに
コンテナータイプのカラオケ屋があったのよ

カラオケ屋つっても
市内にまだ そんなになくてね

ハシリなんよね 

音はかなり悪かったし 
伴奏も レコードとぜんぜん違う ダサイもんやった

どういう接点かは 忘れたばってん

そのカラオケ屋に
4カップルの 8人で行くことになってさ

なんか そん時

だいぶ酒も入ってたんか知らんけど 

ダチの知り合いってやつの彼女が 
顔は可愛いんだけど えらい気が強くてね

彼氏の頭やら 

冗談言いながら ボコボコ叩いてんだわ

歌が下手っていやあ ボコッって殴るし
注文した飲みもんが違うって ボコッて殴る

ああいうの いるんだろうね
簡単に言えば Sが女で Mが男なんだろ

昭和は 強い女が確かに多かった気もするし

まわりから見ればひでえけど
自分らは けっこう楽しいんじゃないの?

やらせてもらう時だけ 立場が逆転ってことも 
大人の世界じゃ〜ありえるわなぁ、、、

ってことで

放っておいた

ところがさ

だんだんにエスカレートしていってさ

なんか 

昔の浮気話の蒸し返しみたいな感じになって
女がマイクで ガコ〜ンってやっちゃったら

男の眉間に 血がにじんじゃったのよ

そんで たまらず男が

「いい加減にせれよ 貴様ん!」

って 言ったよ

そしたら女が今度は 

ワインのボトルで思い切り殴りやがって
男の頭から 血がパ〜ッと 噴き出してきてさ

さすがにオレらも 女ば取り押さえて

店長呼ぶわ、 救急車呼ぶわ、

もう 大変なもんよ!

あとから警察も来たらしいけど
オレらは 早々に帰らしてもろうた

だって マジでなんも関係ないもん

しかし
それにしてもさぁ

オレなんか女に殴られたら 即! 別れるけどねぇ〜

だって 

殴り返してしまったら女が死ぬかも知れんじゃん

犯罪者にはなりたくないし

そもそも変な女と関わってる時間が 
とっても もったいないじゃないの

でもさ 世の中って 

別れきらんやつやら
今がすべてと思うアホが 多いんだろうね

あのあと

あのカップル どうしたんやろ

まさか 結婚してたりして。