オレらが 三年になったていうことは
先輩が 就職したわけで
靴屋に入社した M 先輩から
ある日 電話があった
「オレたい！ おまえ明日の夜 空いとうや？」
それは
酒ばおごっちゃるぜの お誘いやった
実は 先輩がまだ 在学中に
初任給で酒ば飲ましちゃ〜ぜって 言うてくれとって
それば 覚えとんしゃったとよ
めっちゃ 嬉しかったね
翌日 先輩は
つや〜な ジャケットでも着て
須恵町から愛車で迎えに来てくれた
日産ブルーバード 何イチマルか 忘れたばってん
通称「サメブル」の 白やった
まず
オレはパチンコ屋に連れて行かれて
好きなごと打て！ 言われて いい加減に負け散らかして
「おお、よかよか それが男たい」 やら
わけがわからんこと言いながらも
先輩は 少し勝っとんしゃったけん
機嫌は最高でね
次にサメブルは
ビュ〜ンと中州に突っ走り
バコ〜ンって 「千代の花 駐車場」 に入った
まあまあ高そうな 和食屋さんに
オレらは えいっと 飛び込みで入って
刺身に天ぷらに がばがば食って がばがば飲んで
「おお〜、よかよか あんがい飲むやないや」 って
先輩は がっはっは〜って笑って
2万近く さらっと払って
「次は ロックハリウッドにするや？ スナックにするや？」
って 言いんしゃった
ロック、、、って それ ストリップ劇場やろ
オレはまだ 未経験ゾーンやけど 興味はあるよね〜
しかし、、オレ17才やし 先輩は18才やし、、
う〜ん 大丈夫なのか、、、
「なんぶつぶつ言いようとや？ おら 行くじぇ」
結局オレは 「博多ロックハリウッド」 に
無理やり引きずり込まれてしもうた
でもそこは 夢のような世界やったなぁ
やらしいていうより 美しいんよね
あの女の人たち 真剣に踊ってさ
本気でオレら客に 楽しんでもらおうとしとるんよ
一時間以上 呆けたごと見とれて
股間は もうパンパンよ
「おら、次 スナック行くじぇ」
ロビーで煙草ば吸いながら
先輩が やたらせかすもんやけん
オレは ストリップ劇場ば しぶしぶ出たんよね
そんで 今度はスナックげな
マルゲンの どっか忘れたけど 新しいとこ
「あらぁ〜 M ちゃん！」
へぇ〜 行きつけなんだ
就職したばっかりで 先輩すげ〜な〜なんて 思って
ちょこんと 横に座ってると
なんか 先輩がママにごちょごちょ言うたと思うたら
けっこう綺麗な女が 先輩の隣に来た
ああ〜なるほどね
これが 今夜の先輩の 真の目的やな、、
一人じゃ照れ臭いっていうのと
後輩におごるっていう約束と
ダブルで ブッキングしやがったんだ
いいね〜先輩 オレこういう場面は大好きなんよ
そうと知ったオレは
ちょこっと 二人ばヤンキー話で笑わして
水割り カポカポッと飲んで
てきとうなとこで
「ちょー先輩、オレ明日早いんで、この辺で、、、」
って 言うてやったんよね
そしたら先輩が
「もう帰るとや、そうやぁ？ほんなら これ」 って
タクシー代 3000円握らせてくれた
最後まで カッコイイね
オレも来年は就職して あんな風に遊んでやるぜ
オレはもう 大満足よ
そのあと一人でラーメン食って 帰った
先輩の恋が
あれから どうなったかは知らんけど
飲み屋の女を 本気で付き合う対象にするっていう
その後のオレの 方向性みたいなもんは
教わったのかも 知れないねぇ。
