車で飲みに行く、それ普通

初任給が出た!

ダチとなんばするや〜? 言うて
やっぱスナックやろうもんって なって

今まではさ

東区の安いスナックばっかいやったけんが
西通りあたり行くか! ということで

ブルとセリカの二人で つるんで行ったんよ

あの頃って 
車で飲みに行くのは普通やけんね

そんで

西通り言うても あの頃は 

ちょっと路地に入れば真っ暗でさ
車ば止めとくとこやら いくらでんあったもんよ

そんでまあ 車ば路駐して

西通りでも建ったばっかいの ラインビルとか何とかに入って
6階にオープンしましたぁ〜って看板見つけて

えいっ! 

飛び込みで入ってみた

今は もうないけど

「びそっぷ 4343」 って スナックやった

びそっぷてのは、主流のボトルが「VSOP」だったからで
4343てのは カラオケシステムの型番だったんじゃないかな

まあ、とにかく

そこの堀さんってマスターに オレら気に入られてね
ていうより オープンに来た連中は印象に残るはずよね

だけん オレらも気に入って
そっから毎週のごと行くようになったんよ

オープン記念の時は

女の子がいっぱい用意してあって
一人ずつ付いてくれて

特にオレに付いた女は
「胸ならちょっと触ってもいいよ〜ん」 

なんちってよ!

けっこう当時としては思い切ったサービスの店だったのよ
そういう事もあって オレは大ファンになったわけ

あんまり通いすぎて カネがなくなって
しばらくぶりに行ったら なんで来なかったのって聞くんでさ

カネがね〜んだよって言ったら
ボトル一本 ただで入れてくれたりしたよね

昭和のスナックは 
良かったんよ〜ほんま う〜ん、、、

そんな中

触らせてくれたりしない かたい女がおった
ホステスリーダーのゆかちゃん やった

オレはその女に でろでろり〜んやったなぁ

通って、通って、通ってさ 

オレが来たらすぐにマスターが ゆかちゃんに合図して
いつもオレに付いててくれたんよね

酔いつぶれたら 
タクシーまで肩かしてくれたなぁ

色白で、可愛くて、いい匂いがしたなぁ、、、

しかし 叶わぬ恋なんよね

オレは 18才の遊び人、、までいかない「遊びガキ」やし
あいつは年上で、ママを夢見るしっかりもんやけん

背伸びして恥かくんは オレの方だよな

飯とかデートはしてくれたもんの
それ以上は無理やった

いつしか店を辞めたって聞いた時は
もう 次の店にまで追っかけるのはやめた

黙って泣いて

諦めるのが 男よ〜 くくく〜なんちって



追伸、、、

それから27年後、この話にはオチがあんだわ、、、
娘の高校の体育祭を見にいった時に
同じ父兄のテントに ゆかちゃんがいたんだよね(笑)

でも 声をかけられなかった、女房もいたし
向こうも気付いたような気もしたけど
オレは早めに退散したのは 言うまでもなし

相変わらず綺麗だったことに
なんだか複雑に腹が立ったぜ〜。