タトゥー

女に惚れることが、やけに真剣やった時代よ
悪く言うとイモやったし
良く言うと誠実な心があったのかなぁ
ひげも無いようなつるんとしたガキのくせに
浮気はせんなんて誓いを立てたりね

そしてそれが行き過ぎて
付き合ってる女の名前を腕に彫るなんてこと
やりよったよね〜



ガキの頃に暴れて鉛筆が皮膚に刺さってさ
傷が治っても中に芯が残っとる奴、見たことない?
実はオレの右手にもあるんやけど
それをヒントにタトゥーを始めたわけ

だいたい左腕に右手で彫る
好きな女の名前をカタカナかイニシャルたいね
針で何度もかじって傷を深くする方法と
カッターでスパッといく方法を使いよったばってん
どっちにしても粉にした鉛筆の芯を指で入れ込むたい

それで、傷が治ったら中に黒く残ることになるね
まず、失敗はしたことなかったね

ただ、その女と別れてしもうたらヤバイ
そのタトゥーを今度はほじくり出さないかん
これは入れる時より数倍は痛いもんね

ま、オレは当然 YH を入れとった
これは本人には内緒、彼女は真面目やからね
YHの前ではオレもまあまあ真面目なふりして過ごすわけ

ちょっと窮屈な高一の恋愛やったかな。