高校生の T 其の二

軽く遊ぶつもりが

なんか悪いことしちゃった感が残る T ちゃん

背は低かったけど 可愛かったのよ〜
結婚適齢期にもう一度出会ったら、嫁にはいいかも知れんね

ダチが、じゃあオレに回してくれってさ
オレはそんなにワルじゃねえし、そういうのダセ〜よ!

まあ、そのうちに

面影も忘れてしまって 3年が過ぎた

ところがある日

会社の課長が営業車の中で ポツリと言い出したんよね

「おまえさ、T って女ば 知っとうや?」

「ええ、まあ、、、T を知ってるんすか?」

「おお、オレの行きつけのドーベルに新人でおるじぇ
  オレの名刺ば見て、後藤さんまだいますか? って言いよったぞ」

へ〜っ って思ったよ

「水商売に落ちた」 とは言わんよ
だってオレは水な女が大好きで、それなり苦労も知ってるからね

ただ、真っ先にあの親父の顔が浮かんだ

ちゃんとした OL にさせたかったのに
つまらん男と付き合って うちの娘はおかしくなったと

今でも 他人のせいにしとるんやろうか、、、
多分 書斎でポツ〜ンとしとるんやろうなぁ〜ってね


「ま、その娘に おまえば連れて来るって約束したけんくさ
           今週の土曜あたり 夜は空けとけよ」

「あっ、はい!」


こりゃ困ったな、、でも興味はあるな
 
そしてオレは その頃の彼女と婚約中で
けっこう縛られ始めた時期だったんで つまんなくてさ

(結局、婚約は破棄になったけどね)

その 

Tちゃんと再会してしまって

めちゃくちゃ美人の大人の女になってたら
冷静にふるまう自信がなかったもんね、なんせくそ野郎だから

そうこう考えてるうち 
土曜が来ちゃって

朝からごそごそ お気に入りのダークスーツに
ニコルのネクタイをキュッとしめあげて

コロンを多めにふりまく自分がいたりして


あ〜あ オレってやつぁ、、、


続く。



* スナック・ドーベルは中州にありました、現在は知りません
  尾崎将司とともに西鉄ライオンズにピッチャーで入団して
  黒い霧事件で野球界を追放された池永正明さんがオーナーでした。