クスリ代 5000円

倉庫の管理業ば しよう時

荷物ば持って来る運送屋の中に
当然 佐川急便もおった

その兄ちゃんは とにかく借金ば返さないかんけん
昼も夜も ガンガン働きよった人で

たまに 空のダンボールに入り込んで
オレの会社のプラットホームで仮眠したりするんで

目覚ましコールば してやったりした

ある時

「兄さん、働き過ぎて事故ば起こしんしゃんなよ!」

って オレが言うと

「ヤバイ時はくさ、クスリ持っとうけん大丈夫ばい」

って 言うわけよ

「クスリって、まさかあれね? 白いやつね?」

「おう、それ使うたらくさ、2日寝らんでも どげ〜もないじぇ〜
   特に女とのあれが最高たい! いるなら持ってこうかぁ?」

っていう ヤバイ話をサラッと言ってくれるわけで

まあ具体的には

どんなもんか知らんし、聞かんやったけど
オレ、その頃アホやったけん ちょっと興味あったんよね

「あんまりカネないけどさ、5000円がと頂戴とか、、できると?」

「おう、できるぜ! 来週ぐらい どっかで待ち合わせしょうかね」

て、ことで

翌週 オレは

5000円札ば封筒に入れて車の座席に置いとったったい

それがたい

昼休みに車に行ったら のうなっとった!

そもそも車に鍵かけとらんオレが悪いたい、そら分かっとうよ

ばってん怒りがおさまらんオレは 
それからというもの 毎日会社に来た運送屋捕まえては

「おまえか盗ったとは!」 「おまえは知らんや、封筒の5000円!」

って、手当たり次第にギャーギャー言いまくって

時には乱闘になったりしつつ
会社の後輩も含んで 大騒ぎになってしもうた

あとから登場した佐川の兄ちゃんには 
ちょっとカネがのうなったけん すんません言うて

いっぺんテンションが下がったけん
今回の話は いちおうなかったことにしてくれ言うてね

結果的には

手を出さずに済んだということなのかな
もしかしたら 運命の分かれ道やったかも知れん話やね

しかし

セコいようやけど 当時の5000円は惜しかったなぁ〜
焼き鳥屋で がっつり飲んでも2000円ぐらいの時代だからね

う〜ん 

今でも 真相が知りたい、、、。