まともに会社に行かないオレ

箱崎埠頭にある会社の倉庫は
そりゃ ヒデーとこやった

湾岸のただの倉庫に 
プレハブの事務所ば無理やりくっつけて

天井はアスベストだらけで パラパラ落ちてくるし
窓も高いとこにあって 鳩やカラスが入って来るし

冬の寒さと、夏の暑さは
人間が耐えれるレベルやなかった

オレ、最初は

新ピンのスーツで出社したんやけど
初日から いきなり倉庫で荷造りの作業させられて

スーツが真っ白に汚れたし
先に帰らせてもろうた時間が夜の7時で

先輩はそれから11時ぐらいまでやったらしいわけよ

どうだろうねぇ

最初のひと月ぐらい まともに行ったろうか、、

あとは 二日酔いしちゃあ 昼ごろ行ってみたり
ダチと走りに行って朝帰りになったら 仮病で会社ば休んだり

どうしょうもない アホな若造だったね

しまいにゃ所長から

「毎日来るか、会社を辞めるか、決めなさい!」

って 怒鳴られて

「車のローンがあるけん、来ます、、」

って 言うたら

「君は私を馬鹿にしとるんかぁ〜!」

って さらに怒らせてしもうて

これが社会ってもんなのか?
こんなにしんどいこと ずっと続けられんのか?って

18才のガキは 愕然となったもんよ

それに

同期で入ったやつは けっこう頑張りやがるしさ
先輩たちの働きっぷりが異常なテンションなんでさ

毎日がつまんなかったよなぁ

そしてさらに落ち込んだんは

同期のやつが先に営業にあがって
オレはそれから一年先まで 営業にあがれんやったことね

なんで?って、ある先輩に聞いてみたんだけど

「髪が赤いし、リーゼントやし、
  もうちょっと性格も落ち着かな あげてもらえんめぇやぁ」

っていう ことやった

オレが真剣に働きだしたんは
後輩が何人か 入ってきてからやったな

気が合うヤンキーの後輩やったし
後輩が先に営業にあがるなんてことになりゃ

オレは辞めるつもりでいたからね

一年ぐらいずっと倉庫で 

注文の商品ば箱に詰めるだけの作業やったけど
ようやく商品ば納品する仕事も もらえるごとなった

それは 2tトラックに満載して
寿屋の 柳川、四ッ山、熊本の下通りとかに

朝の5時ぐらいから高速ば走って納品しに行くやつで
だいたい早くても 会社に戻るのが夜9時ぐらいかな

そんで 帰ると

まだみんな ガンガン作業してるわけよ
もうほんと うんざりするよ

毎日が10時とか 11時とか
ヒデー時は午前様で もう酒飲んで泊まっちゃうか、みたいな感じで

昭和だったんやね〜

先輩たちもみんな どんな気持ちで働いてたんやろうね
とりあえず、「根性で負けたくない」 程度じゃないのかね

結局その会社に

オレも 17年 いたんだけどね。