名古屋 研修の話 其の一

オレは 18才で

株式会社 藤栄(フジエイ)に入社した

バカでも、オレでも通る中小企業たい
たかが知れてらぁよ

でもあの時代
体力あれば誰でもよかった気もするよ

内容は、家庭用品全般を扱う問屋で
スーパーマーケットやらデパートが取引の対象やったね

確か、はじめに名古屋の本社で
入社式もかねて、社員研修が4〜5日あったから

九州から5人やったか、、、
田舎もん同志で おたおた行った記憶がある

なんか、名古屋はすごかったよ
あの当時(昭和55年)で

都心に地下街が3〜4階もあってさ
交通量は多いし、やっぱ都会はすげ〜なぁって思ったもんだ

研修は 朝早くから叩き起こされて
けっこう厳しいミーティング受けたね

そんで 近くの公園やら 駅前に連れて行かれて

「セールスマン10訓」 を言わされるわけよ

ひと〜つ! セールスマンは〜プロに徹すべし!
ひと〜つ! セールスマンは〜 、、、、、

もう忘れたけど

これ 一人ずつ大声で言わされるとよ
しかも 他の連中は離れた場所におって

ドッキリカメラみたいに 自分だけで 

いきなり路上で大声ば出さないかんわけ

まあ、それぐらいオレは平気やけどね 
しきらんやつは 泣きべそかいてやがった

休憩時間やらは

他の県の新入社員と交流タイムやったけん
オレは 同じ九州の連中をさっそく子分に従えて

だいたい30分で 
男30人ば、全員シメてやった

シメたっていうのは具体的に

オレは 「おまえ」 て言うていいばってん
おまえらはオレを 「後藤さん」 と呼べということよ

中には 大学卒もいたわけだから無茶苦茶よ
でも関係ないもん 知らんくさ、アホやもん

おかげで

同期の女子社員からは 総スカン食ったけど
それも知らん! 遠距離恋愛やら、する気ないもん

入社式の時も 一人ずつ

入社に対して抱負ば発表させられた

オレ、何て言うたか覚えとうよ

「自分は、九州の人間であり九州が好きです、ですから
  将来は九州の責任者になって、九州からこの会社を
     盛り上げていこうと、そう考えております!」

オレは マジで言うたとに

その瞬間

会場から どど〜っと笑いがおきてさ
なかでも専務さんやら常務さんが えらいウケてて

「はっはっは! いいですよ〜、頑張って下さいね〜」

って 言われてしもうた

ちきしょ〜 あの連中め

「ああいうのが すぐ辞めるんだよなぁ〜」 

なんて

陰で言うたんやろうと思うよ

だって その証拠に
何年か先で 本社の常務さんに会った時

「おお君かぁ〜、頑張ってたんだね〜!」

って 笑いやがったもん

くそ〜、あの目が嫌やったな
高卒と思うて ナメてやがんのよ

下等動物を見る目よ
アホを半分バカにしながら、ちょっと可愛いとぐらい思ってる目

高校ん時 三回ぐらい補導された

和白派出所の 
小田巡査とおんなじ目やった

妙にあったかくて、しゃくに障るのよ


続く、、、。