卒業式 其の三

最後のホームルームが終わって

ドカドカッと教室ば出たオレは

前から 「やろうぜ」 って言いよった
ダチの O、S、H に声ばかけた

「おまーち、どげえするや?」

「おう、やろうぜ!」

やろうぜって、御礼参りのことよ

まあ、いろいろあったばってん
あの A と K だけは許せんっての、あったわけだよ

そんで 

鼻の穴が広がったヤンキーが 4人
職員室の扉ば ガターッって開けた

「オラァ〜! Aば出せ! Kはどこや?」

何人かの先公が、オレらの声にすくんどったけど
そのうち 生活指導の先公が集まってきた

「おいおいキミたち、どうしたん?」

「いや、あんたら関係ないすよ」

「まあまあ、そう言わんで話ばしょうや
   そうや、うまいコーヒー入れちゃろう、、な、」

オレら

その生活指導の先公の変わりように 驚いてね
在学中は コラ貴様のバカタレの言いよった連中がよ

コーヒーば入れちゃろうって、、、くさ

そこまで折れてまで
オレらに暴れさせたくなかったんよね

最後の最後に、暴力事件ですべてを無駄にするなって
あの人達の愛情よ 

オレはちょっと 感激した

それで

御礼参りされそうな先生は 慌てて帰ったらしくて
もう いね〜んだと

そんな逃げて帰るような奴はほっとけよ
何の得にもならねえぞって 話やった

「あっ、オレ砂糖とミルクっす」

「なんやおまえ、お子ちゃまやなぁ〜」

「るせ〜なぁ!」

なんて、笑いながらしゃべってね
オレらも もういいやって思ったよ

それより 

先生たちが思ったより優しい人たちだったし

以外と、本当の事が分からんやった自分らが
恥かしいていう気もしたね

最後は 頑張れよ!って言われて
あざ〜す!みたいな 

照れ臭い感じにもなって職員室ば出たけど

「社会に出たら、簡単に人を殴っちゃいかん、覚えとけよ」

って 背中に言われて
チェッていう気持ちで 外に出た

外はいい天気やった

校門のとこで
ダチやら かーちゃんが待っとった

「なんばしよったとね?」 って言うけん

「ミーティングたい」

って言うて 誤魔化した

そういうことで

オレらの年は 御礼参りはゼロやったみたいね
 

続く。