就職試験 其の二

その会社は

城南区の せせこましい場所やった

二階建ての倉庫には
家庭で使う雑貨がいっぱい並んどって

楽しそうでは あった
こんな会社で働けたらいいな〜なんてね 思ったよ

試験を受ける学生は
全部で20人は来とったかなぁ

ダチの T と二人して、着くのが早かったんでね
裏の路地に入り込んで 煙草ば一本ふかして試験会場に入った

午前中の試験はまあ 

名前だけは書いて
わかったようなわからんような、、、

あと、昼めし食うて
勝負は 午後の面接しかなかろうって 思った

なんか その会社の寮みたいな建物には食堂もあってさ
そこで カレーが出てね

カレー食いながら よその学校のやつらに話しかけて
女の子に嫌がられながらも、いちおうは 全員シメテ

「もしお互い受かったら ヨロシク頼むわ!」 

なんちって 遊んでやって

またダチと狭い路地に行って 煙草ばふかした

そんで 

面接なんやけど

ダチの T と、二人ずつとかで座らされて
いきなり 煙草は吸ってますか? って質問でさ

オレは毎日吸ってますって 思わず言うてもうたんやけど
ダチの T は 吸ってませんって 言いやがった

そんで お酒は飲みますか?って聞くんで

大好きで、よく飲んでますよって答えたら
ダチは 未成年だから飲まないって言いやがった

そん時

内心、この嘘つき野郎め〜と思いながら
ああ、、オレは終わったかも知れんて 思うたやね

あとは まあ

どんな社会人になりたいかやら、会社のイメージやら
そんな感じの会話が続いて

最後にオレにだけ こんな質問が来た

内申書の写真は長髪なのに、なぜ今は角刈りなのですか?」

オレは一瞬、うっと詰まって

「そ、それは、、気合いを入れるためです!」

って 言うてしまってね
面接の人たちから どっと笑いが起きてもうた

ああ〜 もうだめや

しまいにゃ笑われて終わったぜ

がっくり肩ば落として帰るオレに
ダチが優しく 教えてくれた

「おまえね、何でも正直に言えばいいってもんやないとぜ」

そっか、、、

大人になるってそんなもんか、、、

なんて 

反省はしたんやけどたい!

なんと結果は

オレだけ その会社に受かったとよ!

しかも自分の目標通り、学年でトップの合格やった
さあこれで、まだ10月なのに 

授業中寝ろうが、お菓子食おうが関係ねえぞって感じよ

だいぶ のぼせ上がっとった気がする
あのことは 良かったのか悪かったのか

今 考えたら
人生的には 悪かったかも知れんね。