ある日 ダチから電話があった
「天神でくさ、なんかオレ スカウトされたったいね
明日 面接があるけん付いてきちゃらんや？」
内容は 本人も よう聞いとらんらしい
ばってん 映画に出れるやら何やら
面白そうなこと言いよったげなけん
オレも付いて行くごとした
あん時は
すげ〜ことみたいな気がしたもんよ
まあ よく覚えとらんけど
いま考えたら 博多の小さい芸能プロダクションなんやろう
当時 日活やら東映が
競って暴力映画ば 作りよってね
「嗚呼 花の応援団」 やら「ビーバップハイスクール」 やら流行ってて
特に 「撮影には本物の不良を使いました！」
なんてのを 売りにした時代やったから
探してたんだよ 顔が怖い奴を
青いアロハを着たやつが スカウトされたダチ
確かにオレらの中でも ダントツに顔面凶器やった
180センチの 80キロ 体格も申し分ないわけよ
でも あいつ結局
その話ば 断ってしもうたんよ
軽いレッスンやら受けるんも かったるいし
拘束されてロケやら行くんも かったるいし
たくさん金くれるってわけでも ないし
やっぱあいつ
根っからのワルだから
問題起こす前に やめとった方が良かったかも知れんて
オレも 思ったよ
じゃあ オレじゃダメなのかって言うと
ダメだって！
「キミは どっちかというと可愛い顔だから、、」
って
喜んでいいのか悲しむべきなのか
微妙な言い方されちゃったよ
そういえば この前
ニシパンのバイト受けに行ったらさ
そのダチは受かって オレは落ちたんやけど
その説明は どうつけてくれんのかね
オレって
不真面目に見えるって ことかね。
