土曜の夜やった
ダチの T が いきなり電話で
「隣町のスナックに 矢沢のカラオケがあるげなぜ！
やっぱ オレたちなら 絶対 行っとかなやろ！」
て 吠えた
オレ そん時
3000円ぐらいしか持っとらんやったばってん
K高いちの矢沢ファンば自負するオレには
あまりに衝撃的な情報やったんでね
カネが足らんでも知るかって気持ちで
とりあえず
ダチと2人で 行ってみたんよ
店の名前は忘れたけど
新しい店やった
そんかわり ママは古かったね
60は越えた感じで
やけに紅い口紅が 不潔なイメージやった
お姉ちゃんは 2人いたかな、、、
記憶にないぐらいやから ブスやったんやろ
まあ それでも
たぬきの水割りでも
ちびちびっと飲みながら おもむろに
「ママ、ここに永ちゃんのカラオケがあるって聞いたっちゃけど」
「ふ〜ん 昨日もそう言う兄さんが来たわね〜」
「あるとね、ないとね！」
「それがあるとよ〜、お兄さん歌ってね〜」
その頃のカラオケって
まだ でかいカセットばハメる仕組みで
こもった音のド演歌ばっかりやったんやけど
アルバム 「ゴールドラッシュ」 の爆発的大ヒットと
「時間よ止まれ」 のシングルヒットも重なって
ついに
矢沢永吉がカラオケで登場するていう事になったんよね
でもあれ 何曲やったかな 4曲ぐらいよ
「時間よ止まれ」「チャイナタウン」
「I LOVE YOU,OK」「ひき潮」
「長い旅」 も あったかも知れん、、、
そんでまあ ともかく全部 歌った
イントロが始まった時点で
あまりにサウンドが違うんで ガクッとはきたけど
嬉しいっちゃ 嬉しかったよね
これからは 裕次郎や美空ひばりだけじゃないもん
スナックの楽しみが 増えたってもんよ
しかも 学校で自慢にもなるし
カラオケって
あの頃から急に 進化し始めて
すぐに レーザーディスクとか何とかいうやつに変わって
オレが就職する頃になったら
あのカセットみたいなヤツって
観光バスか 温泉ぐらいにしか残ってなかったと思うよ
いずれにしても
カラオケは 楽しいよね
オレは
聞いてくれる女がおったら
めちゃくちゃ張り切るタイプです。
