ある日 天神の喫茶店で
オレは N高の女に
別れてくれって言うたんよね
そん時は あいつも素直に聞いて
笑顔まで見せながらの バイバイやったんよ
それが
何日か経ったら
ふつ〜に 電話してきて
今日ケーキ食ったやら 煙草変えたやら
なんやかんや言いやがるんで
「アホか」 言うて
ガチャンと切ってやったったい
そしたら
その夜 9時頃
また電話がかかってきて
いい加減にしろよって 言いかけたら
「公衆電話からよ〜」
「お、、おまえ今 どこにおるとや?」
「ありよし商店」
オレんちの 近くやった、、、
うわぁ 怖い怖い怖い
とにかく怖いけど
ほっといても怖いしさ
2月の 寒い夜だったのよ
だけんジャージの上に
皮ジャン引っかけて出て行って
お前のすることは 気味悪いし 嫌われることぜって
だけん今までの男にも フラれてきたっちゃろうって
くそみそに言うて 泣かせて
無理やり駅まで連れて行ったとよ
そりゃなるべく 前ば歩かんごとしたよ
果物ナイフば持っとるかも知れんもん
そんで
駅が近づいてきた時に
前から 真面目そうな大学生が来たんよね
そしたら あいつ
その知らん男に ガバッと抱きついて
あの人からフラれたから あたしと付き合って〜!
笑いながら言うわけよ
その男も びっくりして
「なんなんですか〜この人ぉ〜」 って言う
オレ
それ見て もう
ブチ切れてしもうてくさ
「なんや貴様んこのバカ女が!たたっ殺っそ〜!」
って言うて
ケツば 蹴っとばしてやって
後ろも見らんで オレはもう 帰ったんよ
あれからは
特に変わったこともなく
ダチの調べによれば 元気にしとるらしくて
もし 蹴ったくられて分かったんやったら
あいつ ほとんど動物だよね
青春時代は
残酷なほど バカなもんだ。