族 M の悲劇

族で M っていう連中がおった

(これはあくまで仮名ね)

そいつらは全員が 
バイクで構成された暴走族で

まあ 集まって20台か
その位 やったろうと思う

十代の頃っていうのは
怖さを知らんからね

かなり 無茶やりよったんじゃないかなぁ

ある時

宮地嶽から海岸線を走る
あれ 芦屋街道っていうの?

そこ すっ飛ばしよった らしいわけね

先頭はもちろん

頭(リーダー)が走って
にけつには 彼女が乗ってたんだってさ

二人とも 
白の特攻服に 刺繍入りよ

命を燃やして キラキラしとったんやろうねぇ

そんで ほんの一瞬

彼女が両手ばあげて 後ろの連中に合図した時やった

頭が アクセルばふかしてしもうて
彼女が 引っくり返ったんよ

そうしたもんだから
その女は もう 

後続のバイクに 次々に踏みつぶされてさ
バイクの連中も ドカドカーッて 倒れていって

怪我人続出の 大事故になってしもうたらしい

そして可哀そうに その女は
首が折れて 即死やったげな

そんな事がありゃ 当然
頭は辞めるやろうし

その族も 自然に消滅したんだと

そんでね

しばらくして

その街道で 妙な事故が起き始めてね

普通の直線なのに
決まって同じ場所で バイクが引っくり返るらしくて

暴走族でもなんでもない人が
二人ぐらい 亡くなってんだよね

で、

三人目に事故やった奴は 救急病院に運ばれて
奇跡的に 助かったんやけど

回復したあとに 
こう言ったらしいよ

「あそこで タイヤ 掴まれた」 って



* この話は ダチの Y から聞いたものです
  この話を聞いてきて みんなに話した Y は
  3日後 バイク事故を起こして 怪我をしたのでありました。