溺れかける 3連発

水泳部ってんで

オレら 

過信しとる部分があってね

無謀な挑戦ば したなぁ

ひとつは 古賀町の花見って海岸の近くにある
名前も知らん川で

前の日から雨が降っとるせいか
けっこう増水して 早かったばってん

「オレらやったら 対岸まで行けるくさ!」

言うてね 

3人で飛び込んだ

クロールで ガァ〜って泳いで
パッと顔上げたら それが全然違うとこに流されとって

冷たくて妙な流れが 足にからんでくる感じやし
流木がぶつかって 痛いし

こら ヤバいて 思うて

「オラァ〜 おまえら〜海まで流れた方がいいぜ〜!」

って 声かけて

とりあえず海まで流されて 
そっから かなりの時間かけて帰ってきたっていう

川ば 甘く見た経験ね、、、


ひとつは 三苫海岸で

あそこは 引き戻す波が海底をえぐるような
不思議な波がでる場所で

死亡事故がよく起きる事で有名なんやけどね

そこで 沖のブイまで行って
しばらく浮いとって

帰ろうとしたら 「引き潮」 になってもうて
泳いでも泳いでも 岸が近づかんわけ

そうしとるうち オレの足がつってくさ

あれ ダチが水中で治してくれんやったら
溺れとろうや〜て 思うね


あとひとつは

新宮の岩場でのことやけど

泳げるシーズンの最後に
もう一回 さざえば獲って 彼女にやろうと思うて

台風が近づいて来ようとに
また いつもの3人で 沖の棚に出て

いざ 帰ろうとしたら
波がシケテきて 泳ぎづらくなってきた

まず ダチの M が陸に上がろうと岩に取りついたら
引き波にもっていかれて

岩肌にぶつかって 
胸板が 血だらけになった

「つまらん! 岩場からは上がれんじぇ〜!
       波止場の方に泳ぐしかね〜ぜ〜」

M が叫んだんで

オレらは 

波の間から見え隠れするダチに 声ばかけながら
波止場に向かって 必死に泳いで 

200メートルぐらいやったかなぁ

あん時 足でもつっとったら
間違いなく 死んどるやろね

やっと波止場に近づいたら
漁師の人が いっぱいおって
ロープば 投げてくれて オレらは上がった

「おまえら〜! こげな日に泳ぐやら
      死ぬ気か ばかもんがぁ〜!」

もう そっから

漁師のおじさんに めちゃくちゃ怒られて
漁業組合に 連れて行かれて

住所氏名やら 書かされたばってん

意外に優しく 
コーヒーやらも出してくれて

親にも学校にも 連絡はせんから
二度とすんなよって言われただけで

帰らしてもろうた ていう
思い出やけど

夏になると よく水難ニュース出るやん

あの中に 高校生なんかがいると

オレらみたいに
過信しとったんやろうね〜 思うて

残念な気分に なるねぇ。