福工大 其の一

うちから歩いて 15分ぐらいのとこに
福岡工業大学があって 

当時は電波大学なんて言いよったかな

ヤンキーの先輩もおるし
綺麗な姉ちゃんも 少しはおったから

なんか憧れて 
よく行って お茶飲んだりしよったね

文化祭の時は

チューリップやら 世良公則&ツイストの
フィルムコンサートが楽しくて ハマって観たし

飲食店やら バーみたいな企画もあって
面白くてしょうがなかった

いつだったか 電子工学科か何かの先生に話しかけられて
ジュースもらって

不良をやめろとか 今からやりたいこと見つけて
大学に行きなさいとか言われたけど 

説教じみてなくて なんか 心に残る人やったな

ばってん

当時のヤンキーにとって大学やら 全然関係ないもんやったんよ

「誰のお蔭で 飯食って 高校行けると思いようとや?」

いつも親父に そう言われるのが我慢ならんやったし
大学やら行ったら それがまだ4年続くわけやん

まあ 高卒の就職先も けっこうあった時代で
安易に考えとった感じではあるけどね
 
結局 オレは大学には行かんやったけど
あの 大学の先生の言葉を聞いてから

何か 工作の腕ば磨けるなら 
大学へ行ってみたいって 夢だけは見たよ

オレは プラモデルが大好きで
模型作りのプロになりたい願望はあった

多分 あんな瞬間が

運命の分かれ道って やつやろう。