ボンタン狩り

北九州の 

「チョーコー」 のもんが時々 

鹿児島本線ば下って来て
わざわざ 香椎駅まで ボンタン狩りに来よった

朝鮮の高校ってのは
学年制やら年齢が 日本と違うんで
ガキっぽいやつから おっさんぽいやつまで
ごちゃごちゃに 居て

だいたい 7〜8人で 遠征に来るわけね

まあ 何するか分からんから
とにかく会わん方がいいけど、、

その日は 彼女と茶店でデートした帰りで
不用意に  オレ一人ん時に会っちまったわけです

「兄ちゃん、いいボンタン履いとうやない」

そりゃ そーだろ

オレのは タキシードクロスの上等もんやん

あれらだって 既製品のペラペラに用はないんよ
キチッと仕立てのボンタンだけ 狙って来よる

「ズボン渡すか、腕折られるか、どっちがいい?」

そう言うからさ

そりゃ 腕は折られたくないから
明日 袋に入れて持って来るからって言って
なんとか帰らせてもらってさ

次の日から バス通学に変えて 逃げちらかした

あれら オレを絶対殺すって 捜しまくりよったらしいけど
さすがに うちの学校の敷地までは
来きらんやったみたいね

あの頃 実際に駅の裏で 腕折られたやつもおるし
鼻に 割り箸ば突っ込まれたやつもおった

あん時オレは 
李やら朴やらちょっと知り合いの名前出して
うまく かわせたから助かったもんの

けっこう ヤバかったな

彼女とのデートも
しばらくは 吉塚あたりに変えたもんね。