人間の能力は案外すごい

師匠から 引き継いだ織物の技法と共に

僕は尺貫法も 引き継いで使用しております

それは何も 伝統に こだわったわけではなく

いちいち センチメートルに直す手間が面倒でもあり
また、こちらが師匠に近づくことが筋でありますので
覚えさせて頂きました

これが 一寸です (3センチと7.8ミリ)

一寸法師は この背丈なんでしょうね 
だいたい大人が 人差し指と親指を平行に構えて 

「ちょっと このぐらい」 な〜んて幅が 一寸なんです

この 10倍が 一尺 (37.8センチ)な わけですが
僕たちは 機にセットした糸が残り少なくなって
何でもいいから織って終わらせたい時って あって

気ままに色を変えながら織るんですが
ちょっと飽きたな〜って思って糸を変えると
ぴったり 一寸だったり 五寸だったり 一尺だったり、、、
自分で びっくりします

人間の中には 確かに腹時計的なものが たくさん存在してて
その 「勘」 は 機械の出現とともに確実に退化してはいますが

手作業を真剣にしていると 僕みたいな凡人でも
人間の能力の深さに驚いたりするわけです

だから 作品を作る時は デザイン画が必要になります
適当に作ると 自然に勘が働いて規則正しい柄になり
面白くないものが出来上がるからです

僕が 樹木や芝の管理の仕事をしていた 10年間は
今 何時なのか いつ雨が降り出すのか だいたい分かったものです

人間って 案外すごいですよね。