寿屋っていう量販店が当時 新宮町にあって
田舎じゃ けっこうでかい建物やし
衣料品やレコード店まであるんで 若者がいっぱいおって
ヤンキーが悪さするには けっこう楽しいわけね
オレら暇な時はいつも三人ぐらいで寿屋の
中央階段横の広場で ソフトクリームやら食ってて
一般の家族連れが近寄れんような雰囲気やったからね
店側としても手を焼きよったんやろうなぁ
ある日 店長さんが話しかけてきた
「君たち、いつも来てくれて有難う！
君たちさえよければ ここで掃除のバイトをしないか？」
条件は 朝、学校へ行く前の ６時から８時まで２時間と
日曜祝日は ６時から10時までの4時間
時給は、、、忘れたなぁ、、300円ぐらいかな
作業は店内の照明のチェックと床のワックスかけと窓ガラス
ようするに掃除のおばちゃんが苦労する部分をやってもらうと、、
オレら、 即 OK出して やったー！
そりゃ嬉しいでしょうよ 長期のバイトなんか見つからんし
こんな ヤンキーば 3人も雇うとこなんかないよ
そのことはあとで おばちゃんに聞いたんだけど
ここの店長はキレもんで 逆の発想で雇ったらしいわけ
追い出すより 引き込めという作戦なんだな
実際、オレらは自分の職場になってから迷惑な行動をやめたし
ほかのヤンキーが来たら 迷惑かけんなよ！って注意するし
勝手に万引きの警戒にもあたったもんね
あの店長は 人物やったと思うよ
オレら 安定した収入源にありつけて
頑張って仕事したもんだ。
