キャロル

昭和50年ごろ

溜まり場ってすげえとこやった
友達の兄貴たちが女も連れてきとってコーラ飲めとか煙草吸えと言う
酒やシンナーがあった、車の本やら漫画の本やらレコードやら
ノーカットのエロ本を見せられた時は顔が赤くなり
「中坊はまだ可愛いね〜」 なんて高校の姉さんに言われた

兄貴たち、カッコ良かった〜
みんなリーゼントかパンチパーマ、働いてる人はアフロまでいた
テーブルはタイヤ2個ぐらいに道路標識を乗せたやつ
それにかっぱらってきたコカコーラのベンチ

ヤニとオイルとポマードとコロンが混ざった臭い
音楽はディスコかロックンロールか
天井に何かいっぱいくっついてるから聞くと
煙草のフィルターをライターで炙り、投げ上げるとくっつくらしい

そん時やった
「おまえ、矢沢永吉って知っとうや?」 と言われ
「すんません知らんです」 と答えたら
「キャロルば知っとけきさん!」 と怒られていろいろと教えてもろうた

その日のうちにオレはTDKのカセットテープば買うて
頭を下げ下げ吹き込んでもらって家のラジカセで聴いた
ぶっ飛んだというのは あれのことやろう
それから37年、永ちゃんファンやもん

他にも教えてもらった、暴走族のこと、運転のやり方、ギターについて
かつあげはこうやればいいとか、自動販売機の壊し方、
女のあそこはどうなってるとか、  まあ、いろいろたい

そっからオレの青春がキラキラしてきた
ある意味、 成長したとですよ